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世界コンピュータ将棋選手権 大会ルール 2006 年12月24日制定 (※)

2014年1 月28日改訂

 

前文

世界コンピュータ将棋選手権は、参加者が一堂に会し、定められたルールの下、最高の技術をぶつけあい、その優秀性を競う大会であると同時に、開発したコンピュータ将棋の技術成果の披露の場である。

参加するプログラムは、参加者の何らかの十分な工夫による技術を明示的に含むものとする。ハードウェア、ソフトウェアなどは、運営に支障のない限り、どのような技術を利用することも認められる。

また、参加者は、使用している技術を積極的に公開し、この選手権を通じてコンピュータ将棋界全体の技術の向上に寄与するものとする。

この前文の趣旨に賛同し、ルールを遵守するものは、誰でも本選手権に参加できる。

 

第1章 総則

(定義)

第1条 本規程において、次の各号に掲げる用語の定義は、当該各号に定めるところによる。

一 CSA コンピュータ将棋協会。

二 選手権 世界コンピュータ将棋選手権。

三 対戦 選手権における個々の対局。

四 試合 選手権の各日における、その日の全対戦。

五 対戦サーバ 運営委員会が用意した、CSAサーバプロトコルver.1.1.3に基づくLAN対

戦用サーバ。

六 参加プログラム 選手権に参加するプログラム。

七 思考部 参加プログラムにおける、指し手の生成に直接影響を与える部分。

八 インタフェース部 参加プログラムにおける、思考部以外の部分。対戦サーバとの通信、盤面の表示、累積消費時間の表示等を行う部分をいう。

九 ライブラリ 「新ライブラリ規程」で規定されたプログラム。

十 開発部 思考部の中でライブラリ、定跡データ及び一般に流布している汎用ルーティンを除いた部分。

十一 開発者 開発部のコードを作成した人。

十二 参加者 プログラムを参加させている人もしくはチーム。

十三 参加代表者 参加者の代表。

十四 操作者 選手権当日、参加プログラムを操作する人。

十五 判定 本ルールに従って、一意に定まる決定。

十六 裁定 何らかの係争事案に対して、審判や運営委員長が下す決定。

 

(目的)

第2条

1 選手権は、参加プログラムの中で優秀なプログラムを決める大会である。

2 選手権は、その参加者が技術的な交流、発表を行う場である。

 

(運営)

第3条

1 選手権は、コンピュータ将棋協会が主催する。

2 運営の主体となる運営委員会は、CSA 理事会が委嘱するメンバー(運営委員)で構成される。

3 CSA理事会は、選手権の2~4ヶ月後に開催される理事会で運営委員を選任し、運営委員は運営委員長を互選し、選手権の準備・運営にあたる。

4 運営委員の任期は次回の選手権の運営委員が決定されるまでとし、再任を妨げない。欠員が生じた場合は、必要に応じてCSA理事会の選任により補充され、任期は前任者の残任期間とする。

5 クレーム等の対応、前選手権の残務は、前回の運営委員会から引き継ぐ。

6 運営委員会は、前文の趣旨を満たし、円滑に運営するために活動する。

7 運営委員長は、運営全般の全責任者である。

 

(裁定)

第4条

1 審判長、及び審判は、運営委員長により任命される。

2 審判は、選手権当日、参加者によってルールが厳正に守られているか監視する。

3 審判は、ルールに従って勝敗を判定する。また、勝敗の裁定を下すことができる。

4 審判長は、審判裁定に対する全責任者である。

5 参加者は、審判長の裁定に異議がある場合、運営委員長に異議申し立てをすることができる。但し、異議申し立ては、選手権終了後1 ヶ月以内とする。

6 運営委員長の裁定を、最終決定とする。

 

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第2章 参加資格等

(参加資格)

第5条 前文の趣旨に賛同し、本ルールを遵守する者は、参加資格を有する。但し、運営上の都合により、運営委員会が参加の可否を判断する場合がある。

 

(参加プログラム)

第6条

1 参加プログラムは、人工的に作られた機械で、将棋のルール通りに自動的に手を返すこと。

2 参加プログラムは、任意の台数・種類のコンピュータ及び周辺機器を使用することができる。

3 参加者は、参加プログラムを自らの責任で用意し、選手権の会場に設置すること。

4 開発者は、2つ以上の参加プログラムの開発部の開発に関わってはならない。

5 参加プログラムは、開発者が開発部に技術的に何らかの明示的な工夫を施したプログラムであること。ただし、開発者自身が、技術的に何らかの明示的な工夫を施して作成したライブラリを用いる場合はその限りではない。

6 参加プログラムは、その他、本ルールに定める機能を有すること。

 

(ライブラリ)

第7条

1 参加プログラムは、所定の時点で登録されていたライブラリを使用することができる。

2 ライブラリは、改造して使うことができる。その場合、選手権終了後に、それをライブラリとして登録することが推奨される。

3 ライブラリを使用する場合、参加者は、その旨を所定の期日までに運営委員会に届け出るものとする。

 

(必須機能)

第8条 参加プログラムは、次の各号に掲げる機能を持たなければならない。

一 任意の局面・手番・残り時間からの将棋の対局の開始と継続。

二 任意の時点での対局中断。

三 対局中の現在局面の表示。テキストでも良い。

四 第24条の規定による、1手毎の消費時間の計測、及び累計消費時間の画面への表示。

五 1手毎の指し手と消費時間の記録。対局中断時も、そこまでのすべての指し手と消費時間を取り出せなければならない。

六 CSAサーバプロトコルver.1.1.3に基づく、LANによる対局。

七 相手の指し手の手入力による対局。

 

(推奨機能)

第9条 参加プログラムは、次の各号に掲げる機能を持つことが推奨される。但し、機能を持たないこ

とによって不利になることはない。

一 LANによる通信で送受信した文字列の必要に応じた表示。

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第3章 参加申込

(参加申込)

第10条

1 参加者は、運営委員会が指定した期間内に申込を完了すること。

2 参加者は、参加申込の際には、運営委員会が指定した申込用 Web サイトにて、開発者全員及び参加代表者の氏名を届け出ること。運営委員会は、それらの氏名を公表する。

3 参加者は、開発者全員に選手権参加についての承認を得ていること。

4 参加者は、所定の参加費を、所定の期日までに運営委員会に支払うこと。選手権が中止される場合以外、納入された参加費は返還されない。

5 参加者は、使用予定プロセッサ、メモリ、使用するライブラリ等の参加プログラムに関する所定の情報を、所定の期日までに運営委員会に届け出ること。

6 参加者は、参加プログラムに関して、第6条第5項を満たすことをアピールする文書を、所定の期日までに運営委員会に届け出ること。

7 参加者は、ライブラリを改良して使用している場合、その改良点について、できるだけわかりやすく前項の文書に記述すること。

 

(台数・電力・騒音制限)

第11条

1 参加者は、参加プログラムとして選手権の会場に持ち込む機械が以下のいずれかに該当する場合、所定の期日までに運営委員会に申請し、許可を得なければならない。

一 複数台の PC である場合。

二 総使用電力が1000Wを超える場合。

三 総発生音が70dB を超える場合。

2 運営委員会は、申請のあった参加プログラムの予定された会場での対局が選手権運営上困難であると判断した場合、対戦用サーバとLAN 接続可能な別室での対局や、リモート参加を指示する。

 

(リモート参加)

第12条

1 次の各号に掲げるいずれかの場合には、指し手の生成を、選手権の会場外にある、対戦用サーバとの LAN 接続が不可能なマシン(以下「リモートマシン」という)で実行することができる。これをリモート参加という。

一 参加者が、所定の期日までに運営委員会に申請し、許可された場合。

二 運営委員会が前条第2項の規定により指示した場合。

2 リモート参加の場合、参加者は、以下の各号に掲げる機能を持つマシン(以下「会場用マシン」)を自らの責任で用意し、選手権の会場に設置すること。

一 リモートマシンとの間で指し手を送受信する機能。

二 第8条に規定される機能。

3 参加者は、リモートマシンと会場用マシンとの間の指し手の送受信は、手動で行ってはならない。その送受信のための通信の接続・再接続は手動で行うことができる。

4 参加者は、リモートマシンの思考記録(少なくともリモートマシン上での消費時間と生成された指し手)を残しておくこと。

5 リモートマシンと会場用マシンとの間の通信は、参加者の責任で行うこと。

 

(代理マシン)

第13条 次の各号に掲げるいずれかの場合には、インタフェース部の一部または全部(以下「代理

マシン」という)と、指し手生成部との間の指し手の伝達を手動で行うことができる。

一 参加者が所定の期日までに運営委員会に申請し、運営委員会が、指し手生成部が特殊な機器であるためにやむを得ないとして許可した場合。

二 参加プログラムが、試合当日に第8条に定める機能が欠落し、それについて運営委員会がやむを得ない事情があるとして認めた場合。

 

(参加プログラムの連続性)

第14条

1 参加者は、そのプログラムについて、開発者全員あるいはその一部が同じである過去の任意の選手権の参加プログラムの後継であると指定することができる。

2 参加者は、そのプログラムについて、開発者全員あるいはその一部が同じである過去の選手権の参加プログラムのいずれの後継でもないと指定することができる。

3 第1項および第2項の指定は、所定の期日までに運営委員会に申請するものとする。

4 過去の選手権のある参加プログラム及びその後継である参加プログラムについては、一つの参加プログラムのみが後継となることができる。複数の参加者から後継であるとの申請があった場合、運営委員会が扱いを決定する。

5 参加者から第3項に定める申請がない場合は、運営委員会が、どの参加プログラムの後継とするか、又は初参加扱いとするかを決定する。この場合、原則として、参加プログラムの開発者が重なる直近の選手権の参加プログラムの後継とする。

 

(参加の可否の判定)

第15条

1 参加プログラムが第2章に定める参加資格等を満たさない場合又は第3章に定める参加申込を怠った場合、運営委員会は参加を差し止める。ただし、運営委員会がやむを得ない事情があると認めた場合はその限りではない。

2 前項の裁定のため、運営委員会は参加プログラムのソースコードの提出を要求することがある。

 

(試合当日の確認)

第16条 参加者は、選手権の1次予選・2次予選・決勝の各日において、第10条第2項及び第5項で届け出た事項について変更がある場合、その日の結果発表時までに運営委員会に届け出ること。

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第4章 試合方式

(シード順)

第17条

1 参加プログラムのシード順は、上位より、次の各号に掲げる順で決定される。

一 前回の決勝の順位

二 前回の2次予選の順位(決勝進出者を除く)

三 前回の1次予選の順位(2次予選進出者を除く)

四 上の一~三に該当しないものは前々回順位

五 上の一~四に該当しないものは前々々回順位。以下同様

六 初参加プログラム(抽選順)

2 前項第六号の抽選は、1次予選当日の受付締切時刻直後に行う。

 

(シード)

第18条

1 選手権は1次予選・2次予選・決勝を行う。

2 参加プログラムのシード順に基づき、上位から順に16プログラムが「2次予選シード」となり、2次予選から参加となる。それ以外の参加プログラムは、1次予選から参加となる。

3 2次予選シードは、選手権開催年の3月31日時点で、参加申込を受理され、かつ不参加(参加の辞退、あるいは運営委員会による参加の差し止めのことをいう。以下同じ。)となっていない参加プログラム(以下「参加予定プログラム」という)を対象に決定される。

 

(予選・決勝の方式)

第19条

1 1次予選は、2次予選シードを除く全参加プログラムにより、各7局の対戦を行う。その上位8プログラムが、1次予選を通過して2次予選に進出する。

2 2次予選は、2次予選シードおよび1次予選通過者の合計24プログラムにより、各9局の対戦を行う。その上位8プログラムが、2次予選を通過して決勝に進出する。 3 決勝は、2次予選を通過した8プログラムにより、各7局の対戦を行う。

4 1次予選・2次予選において、その日の結果発表時に運営委員会が通過プログラムに翌日の参加を確認する。参加辞退の場合、あるいは確認が取れない場合は、次点のプログラムが繰り上げ通過となる。

5 1次予選・2次予選においては、選手権の進行状況によって、総対戦数を減ずる場合がある。

6 選手権開催年の4月1日以降、1次予選の結果発表時までに2次予選シードが不参加となった場合、2次予選シードの繰上げは行わず、その分だけ2次予選進出数を増やす。

7 第1項、第2項、及び第3項の方式は、参加予定プログラム数が25以上64以下の場合適用される。

参加予定プログラム数が24以下の場合は、1次予選は行わない。

参加予定プログラム数が65以上の場合、60を越える5チーム毎に、2次予選シードを1、1次予選から2次予選への進出数を1、それぞれ増やす。

8 1次予選・2次予選において、その日の受付締切時刻までで確定した参加プログラムが奇数となった場合、運営委員会が任意のプログラム(以下「招待プログラム」という)を参加させる。 招待プログラムは予選通過の対象とならず、次点の参加プログラムが繰り上げられる。

9 招待プログラムは第6条および第10条の適用から除外される。

 

(遅刻・参加辞退等の取り扱い)

第20条

1 参加辞退の場合、2次予選シード者は1次予選の試合結果発表時、それ以外は1次予選の受付締切時刻までに運営委員会まで連絡しなければならない。

2 参加者が、その日の受付締切時刻までに受付を済ませられない場合、受付締切時刻までに運営委員会に遅刻の連絡をしなければならない。

3 1次予選・2次予選において、参加者が受付締切時刻までに受付を済ませず、運営委員会への参加辞退又は遅刻の連絡もしていない場合、参加放棄となり、その選手権のその日以降の対戦に参加することはできない。

4 決勝において、参加者が受付締切時刻までに受付を済ませず、運営委員会への参加辞退又は遅刻の連絡もしていない場合、無断遅刻となる。この場合、受付を済ませて対局の準備ができた時点で、運営委員会はその日のそれ以降の対戦への参加を認める。

5 参加放棄、参加辞退の連絡の遅延、及び無断遅刻に対しては、運営委員会が警告や次回以降の参加制限等の措置を取る。但し、交通事故・急病等、運営委員会がやむを得ない事情と認める場合は、警告や参加制限の対象とはならない。

6 その日の最初の対戦が開始された後、参加者が運営委員会に申請し、運営委員会が対戦不可能なやむを得ない事情があると認めた場合は、途中で棄権することができる。その場合、その日のそれ以降の対戦は不戦敗となる。

 

(組合せ)

第21条 1 完全スイス式とは、次の各号に掲げる規則に基づく組合せ法のことをいう。

一 各回毎に、その回の直前までの勝ち:1、引き分け:1/2、負け:0 として成績によって組に分け、同成績の組で当てていく。

1回戦の場合は全員同じ勝ち点とみなす。

二 同成績の選手が奇数のときなど、同成績で当てられなかったプログラムがある場合、成績の近い組のプログラムと当てる。

三 既に対戦しているプログラムとは当てない。

2 変形スイス式とは、完全スイス式において、その回の直前までの成績ではなく、2局前までの成績に基づく組合せ法のことをいう。

3 予選は、次の各号に掲げる方式で対戦の組合せを決定する。

一 1回戦は、完全スイス式で決定する。

二 2回戦は、1回戦で上位が勝ったと仮定した上で、完全スイス式で決定する。

三 3回戦は、変形スイス式で決定する。

四 4回戦以降は、完全スイス式で決定する。

4 予選の組合せ及び先後は、運営委員会が用意した組合せソフトを用いて決定する。

組合せソフトで組合せが決定できない場合は、運営委員会が決定する。

5 決勝は総当り戦で行う。全対戦の対戦順、及び先後は、1回戦開始までに運営委員会が決定する。

 

(順位の決定)

第22条 順位は、引き分けを0.5勝 0.5 敗と換算した上で、次の各号に掲げる順に適用して決定する。

一 勝数の多い者を上位とする。

二 ソルコフ(すべての対戦相手の勝星の合計)の多い者を上位とする。

三 SB(負かした相手の勝星の合計)の多い者を上位とする。

四 ミディアム(負かした相手の勝星が最高と最低の2人を除いた相手の勝星の合計)の多いものを上位とする。

五 第一号から第四号までで同順位の者の間で行われた対戦について、DB(勝ち数-負け数)の多い者を上位とする。

六 シード順が上位の者を上位とする。

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第5章 対戦方法

(対戦の方法)

第23条

1 対戦は、すべて平手戦とする。

2 対戦開始予定時刻は、運営委員会がその10分前までに決定し発表する。

3 対戦は、対戦サーバを介して行う。

4 対戦開始の合図は対戦サーバから送られる。対戦サーバが利用できない場合は、審判が合図するが、両対戦者合意の上でそれ以前に開始することもできる。

5 遅刻・不在・マシントラブル等により、対戦開始予定時刻からの対戦開始が不可能な場合、対戦開始までの時間は、対戦開始が不可能な方の消費時間に加算する。両者とも対戦開始が不可能な場合は、両者の消費時間に加算する。

6 対戦サーバが利用できない場合、手入力で対戦を行う。

7 対戦開始後は、参加プログラムの指し手の決定に影響を与える行為を人間が行ってはならない。

8 次の各号に掲げる操作は、参加プログラムの開発者又は参加代表者が行うものとする。但し、対戦開始予定時刻までに参加者が運営委員会に申請し、運営委員会が認めた操作者が操作を行うこともできる。

一 対戦直前の参加プログラムの起動、及び対戦サーバとの接続

二 手入力による対戦における、相手の指し手の入力

三 審判の指示による、参加プログラムの対戦の中断

四 第12条に定める、会場用マシンとリモートマシンとの通信の接続・再接続

五 第13条に定める、代理マシンと指し手生成部の間の指し手の伝達

9 対戦開始後に不慮の事故等で対戦が中断した場合、審判が、中断局面あるいはその数手前の局面からの、LANによる通信や手入力での対戦再開を求めることがある。

 

(消費時間)

第24条

1 1手毎に、実際の消費時間を計測した上で秒未満を切り捨てたものを1手毎の消費時間とする。ただし、ある手の消費時間が1秒未満の場合、その手の消費時間は1秒とする。すなわち、計測された消費時間をx秒、このルール上の消費時間をs秒と表わすとき、x<2であれば、s=1とする。またnを2以上の自然数とするとき、n<=x<n+1であれば、s=n とする。

2 累積消費時間は、当該対戦の当該参加プログラムの1手毎の消費時間を累積したものとする。

3 持ち時間は 25 分とする。すなわち、累積消費時間が 25 分以上となったら負けとなる。指した後、25分00秒なら、その手で相手が詰みでも負けとなる。

4 選手権の進行状況によって、持ち時間を減ずる場合がある。

5 LAN対戦の場合は、対戦サーバが、1手毎の消費時間を計測し、累積消費時間も管理する。対戦サーバが相手の指し手または対戦開始の文字列を送信し、それに対する指し手を受信するまでの時間が1手毎の消費時間となる。ネットワークによる遅延も消費時間に含まれる。

6 手入力対戦の場合は、それぞれの参加プログラムの計測時間を用いる。

7 手入力対戦の場合でリモート参加の場合、消費時間は会場マシンで計測する。すなわち、通信時間・通信が切断された場合の再接続時間も消費時間に含める。

8 手入力対戦の場合で代理マシンを使用する場合、消費時間は代理マシンで計測する。すなわち、指し手を代理マシンと指し手生成部との間で手動で伝達する時間も消費時間に含める。

 

(入玉宣言法)

第25条 1 次の各号に掲げる条件がすべて成立する場合、勝ちを宣言できる(以下「入玉宣言」という)。1つでも条件を満たしていない場合、宣言した方が負けとなる。

一 宣言側の手番である。

二 宣言側の玉が敵陣三段目以内に入っている。

三 宣言側が、大駒5点小駒1点で計算して

・先手の場合28点以上の持点がある。

・後手の場合27点以上の持点がある。

・点数の対象となるのは、宣言側の持駒と敵陣三段目以内に存在する玉を除く宣言側の駒のみである。

四 宣言側の敵陣三段目以内の駒は、玉を除いて10枚以上存在する。

五 宣言側の玉に王手がかかっていない。

六 宣言側の持ち時間が残っている。

2 入玉宣言は、プログラムにより、以下の各号に掲げる方法で行うものとする。

一 入玉宣言をすることを画面上に明示する。

二 対戦サーバを用いた対戦の場合、前号に加え、対戦サーバに「%KACHI」のコマンドを送信する。

 

(勝敗の決定)

第26条

1 勝敗は、次の各号に掲げる順で決定される。

一 審判による裁定及び判定。

二 対戦サーバによる判定。

2 審判は、勝敗を所定の場所に掲示する。勝敗は、その日の最終局以外の場合はそれに基づく組合せの発表時、その日の最終局の場合はその日の試合結果発表時で確定する。それ以降は、掲示された結果に誤りがあっても、訂正することはできない。

 

(審判による勝敗の裁定及び判定)

第27条

1 次の各号に掲げる場合、審判はそのプログラムの負けと判定する。

一 将棋のルールに則った指し手が存在しない局面になった場合。

二 消費時間が第24条第3項で定める制限を超えた場合。

三 ルール上指せない手を指した場合。

四 相手が正当な入玉宣言を行った場合。

五 正当でない入玉宣言を行った場合。

六 LAN対戦において、CSAサーバプロトコルver.1.1.3に規定されない通信を行った場合。

七 5手目思考開始後、通信・OS等の原因の如何にかかわらず、プログラムの終了等により指し手の入出力が不可能となった場合。 但し、通信時に不正な文字列を受信し、それを画面に表示後、その表示を確認できる状態でプログラムが終了した場合はその限りではない。

八 中断後、審判が指定した局面・手番・消費時間からの再開がスムーズにできない場合。

九 本ルールで禁止される行為を行ったと審判が判定した場合。

2 千日手は指し直さず、引き分けとする。 但し、連続王手の千日手(同一局面の最初と4回目の間の一方の指し手が王手のみだった場合)は、連続王手をかけていたほうが負けとなる。 千日手の判定は、LAN対戦の場合対戦サーバが行う。それ以外の場合は、審判、又は当該の対戦の参加プログラムの開発者、参加代表者若しくは操作者の申し出により、運営委員会が用意した千日手判定プログラムにより行う。

3 通信ケーブルや電源切断等の事故、あるいは対戦サーバの不具合により中断した場合は、審判が勝敗・引き分け・再戦・途中局面からの再開等の扱いを決定する。

4 選手権の進行上問題が生じた場合、対戦の途中であっても、審判が勝敗(引き分けを含む)を決定することがある。

 

(不測の事態)

第28条

1 災害や停電、サーバの異常など、不測の事態が生じた場合は、可能な限りその事態が生ずる直前の状態から再開するものとする。

2 不測の状況に応じ、運営委員長がその後の運営について決定する場合がある。

 

(棋譜)

第29条

1 選手権の各対戦の棋譜は、運営委員会の判断で、自由に使用や公開ができるものとする。

2 手入力で対戦が行われた場合、その対戦の直後に棋譜ファイルをコピーし、運営委員会に提出する(USB接続可能なデバイスを推奨する)こととする。

3 第2項の棋譜ファイルの形式は、CSA標準棋譜形式とする。

4 第2項の棋譜ファイルには、一手ごとの消費時間も記録することとする。

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第6章 参加プログラム等の保存およびクレーム期間

(参加プログラム等の保存およびクレーム期間)

第30条

1 参加者は、選手権の対戦で用いた全てのバージョンの参加プログラムの実行ファイル、データなど、選手権の状況を再現できるもの、およびその実行ファイルを生成するためのソースコード全て(以下「選手権版プログラム」という)を、決勝終了の翌日から1年間保存しなければならない。ハードウェアについても、可能な限り保存することが望ましい。

2 大会ルールに反する行為については、大会終了後6ヶ月以内に誰でもクレームを運営委員会に申し出ることができる。

3 クレームの妥当性については、運営委員会が速やかに判定する。

4 クレームが妥当でないと判定された場合、申請者にその結果を報告する。

5 クレームが妥当であると判定された場合、運営委員会ができるだけ速やかに調査委員会を招集し、必要な調査を委託し、運営委員会にその調査報告書を提出させる。その調査報告書に基づいて運営委員会が判断し、最終結果を申請者と被疑者に報告する。なお、運営委員会が事態の重大性に応じて、調査結果の一部または全部を公表する場合がある。

6 運営委員会の調査を行うため、選手権版プログラムの全部又は一部の提出を求めることがある。また、ハードウェアの実物のチェックを要求することがある。

7 参加者が前項の要求に応じない場合、また、運営委員会が調査の結果、本ルールに定める参加資格を満たさないとの判断を示した場合、主催者は順位の剥奪や次回以降の参加制限等の措置を取る。

 

附則

(施行期日)

第1条 本規程は、2014年1月28日から施行する。

(正本)

第2条 本規程は日本語版と英語版を作成する。その解釈に疑義のある時は、日本語版を以て正本とする。

(第24回選手権運営委員会)

第3条 本規程第3条第3項の規定にかかわらず、第 24 回選手権の運営委員は、2013 年 12 月 1 日の理事会で選任する。

 

※世界コンピュータ将棋選手権 大会ルール 2006 年12月24日制定

2007年12月19日改訂

2008年11月23日改訂

2009年12月20日改訂

2010年12月20日改訂

2011年12月18日改訂

2012年12月25日改訂

2013年12月1日改訂

2014年1 月28日改訂

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