第12回世界コンピュータ将棋選手権実施要領
前回からの主な変更点
前回に対して、主に次の点が変更になっていますので、御注意下さい。
- 決勝の参加者数を10チームから8チームに減らした。
運営の都合上、今後、若干の変更がある可能性があります。
実施要領
(1) 日時
- 2002年5月3日(金)〜5日(日)
- 1日目 1次予選
2日目 2次予選
3日目 決勝
(2) 場所
- 〒292-0812 千葉県木更津市矢那1637
かずさアーク
TEL: 0438-20-5555 FAX: 0438-20-5139
(3) 主催
- コンピュータ将棋協会 (略称:CSA)
(4) 協力
- 社団法人 日本将棋連盟
(5) 協賛
- 富士通 株式会社
株式会社 アスキー
株式会社 毎日コミュニケーションズ
株式会社 アイフォー
- 後援(予定) 経済産業省
(6) 賞品
- 3位まで:楯、8位まで:賞状
賞品:ノートパソコン(優勝者)
(7) 参加費
- 1チーム1万円 (事前に振り込み、参加を中止しても返却しない)
(8) 参加資格(必須の機能)
- 盤面の表示(テキストでも可)、指し手の入出力、先手と後手の両方が指せること。
- 消費時間の表示(秒単位)。
消費時間が1秒未満の場合、1秒とすること(1手につき最低1秒)。
- 棋譜(消費時間を含む)の記録。
- プログラムは、自作のものでなければならない。思考部にオリジナリティーがあること。
- 1チーム1プログラムとする。
- 実行機種は問わない(原則として持ち込み)。
- 通信機能(プロトコルは別記)。
ただし、参加プログラムに通信機能がなくても代理通信ソフトを使用し、参加
できる。この場合、消費時間のハンディが生じる(詳細は後述)。
通信機能を備える場合は、相手が手入力の場合があるので、待ったに対応しな
ければならない。
- 入力ミスに対して、指し手の再入力(消費時間も戻す)が可能なこと(手入力の場
合)。
(注)
- 対局は原則として通信で行うが、トラブルがあった場合は手入力で行う。
- 自作の参加の他に、主催者(CSA)が市販のソフトを参加させる場合がある
(参加者数が奇数の場合等)。
- 参加資格が微妙な場合は、主催者が扱いを決定する。
- 過去の参加チームが分裂して参加した場合、そのどれか1チームだけを後継とし、他のチームは初参加の扱いとする。どのチームを後継とするかは、原則として、分裂した参加チームが申告する。
(9) プログラムにあることが望ましい機能
- 千日手の検出。
- 持ち時間の変更に対応。
- 事故の際、任意の局面・手番・持ち時間で対局を再開できる。
(10) 通信機能について
- 通信機能は、原則として、必須とする。
ただし、参加プログラムに通信機能がなくても代理通信ソフトを使用し、参加
できる。この場合、通信機能のついたソフト(代理通信ソフト)を同時に実行し、
それを経由して、相手と対戦しなければならない。代理通信ソフトは、自分の
プログラムが走るマシンまたは、参加者が用意する別の(ノート型に限る)マ
シンの上で動作させる。この場合、入力部分の時間もそのプログラムの消費時
間とする(代理通信ソフトが計測した時間を消費時間とする)。
自分のプログラムや通信プログラムへの入力は、参加者自身が行うこととする。
なお、OSがWindowsでなく、通信機能もなく、かつ条件が悪い(パソコンを余
分に用意できない/遠隔地で運ぶのが大変である)場合は、事前にCSAに申
し出れば、相談に応ずることがある。
- 代理ソフトとしては、CSA形式の通信機能を持った市販の将棋ソフトが使用
可能である。また、CSAのホームページに、フリーのものを登録する予定で
ある。
- 参加者は代理通信ソフトへの入力に際し、なるべく待った(入力ミス)をしな
いように努力する。なお、あまりに頻繁に待ったをする場合は、審判の判断で
残りの持ち時間を減らすなどの処置をとる場合がある。
- 両者ともに通信機能があるのに、うまく通信できなかった場合で、通信できな
かった理由が判定できないときは、両者とも手入力による対戦とする。この場
合、手入力の時間は消費時間に加えない。また、この場合、運営上の都合で、
審判による勝敗(引き分けを含む)の判定を行う場合がある。
なお、途中から通信が不能となり、手入力で再開した場合もこれに準ずる。
(11) 試合の方法(予選・決勝共通)
- 対局は、総平手戦とする。
- 持ち時間が切れたら負け(詳細は後述)。
- ルール上指せない手を指したら負け。
- 千日手は指し直さず、0.5勝の扱いとする。
ただし、連続王手の千日手(同一局面の最初と4回目の間の一方の指し手が王手
のみだった場合)は、王手をかけていたほうが負け。
- 入玉し、一定の条件を満たした場合、勝ちを宣言できる(詳細は後述)。
- 対局開始前の再コンパイル、相手に合わせたパラメータ調整等は、やってもよい。
- 対局開始後は審判に指示された場合、または、両対局者合意の上で審判の許可を得
た場合を除き、入力装置を操作してはならない。
- 開発者、または、代理の人の判断で、投了してもよい。
- 通信部のバグ・その他の事故により中断した場合は、審判の判断によって処理する。
- 対局開始後一定の時間が経過しても対局が終了しない等、大会の進行上問題が生じ
た場合、対局の途中であっても、審判が勝敗等を決める場合がある。
- その他、トラブルがあった場合は、審判が判断を行う。
(12) 持ち時間
- 秒単位で積算し、片方あたり、25分。
- 切れたら負け。指した後、25分00秒なら、その手で相手が詰みでも負け。
- 1秒未満は1秒とする。0秒としていた場合、審判が時間を加算する場合がある。
- 消費時間は、それぞれのソフトの計測時間を用いる(不正があった場合、審判が扱いを判断する)。
(13) 入玉について
- 次の条件が成立する場合、勝ちを宣言できる(以下「入玉宣言勝ち」と云う)。
条件:
- (a) 宣言側の手番である。
(b) 宣言側の玉が敵陣三段目以内に入っている。
(c) 宣言側が(大駒5点小駒1点の計算で)
- 先手の場合28点以上の持点がある。
- 後手の場合27点以上の持点がある。
- 点数の対象となるのは、宣言側の持駒と敵陣三段目
- 以内に存在する玉を除く宣言側の駒のみである。
(d) 宣言側の敵陣三段目以内の駒は、玉を除いて10枚以上存在する。
(e) 宣言側の玉に王手がかかっていない。
- (詰めろや必死であることは関係ない)
- (f) 宣言側の持ち時間が残っている。(切れ負けの場合)
- 以上1つでも条件を満たしていない場合、宣言した方が負けとなる。
- (注) このルールは、日本将棋連盟がアマチュアの公式戦で使用しているものである。
- 以上の宣言は、コンピュータが行い、画面上に明示する。通信対局の場合は、
「%KACHI」のコマンドを送信する。
(14) 勝敗の決定
- 勝敗は以下の順で決定される。
- 1) 時間切れは負け
2) 通常の将棋のルール(持将棋を除く)による勝ち、負け
- 千日手となった場合はそこで終了
(連続王手でない千日手は引き分けとして扱う)
- 3) 入玉宣言勝ち(宣言はコンピュータが行う)
(15) 予選と決勝の方式
- (i) シード順
- 参加者のシード順(開始時の順位)は以下の通り(前回、発表)。
上位より
- (A) 前回の決勝の順位
(B) 前回の2次予選の順位(決勝進出者を除く)
(C) 前回の1次予選の順位(2次予選進出者を除く)
(D) 上の(A)〜(C)に該当しないものは前々回順位
(E) 上の(A)〜(D)に該当しないものは前々々回順位。以下同様
(F) 初参加者(抽選順)
- (ii) 決勝の対戦方式
- シード数3、参加者数8、7回戦の総当たりとする。
- (iii) 2次予選の対戦方式
- シード数16、参加者数24、試合数9、変形スイス式
決勝進出数5(上位5)
- (iv)1次予選の対戦方式
- 1次予選の参加者は、残り(全参加者数-3-16)のソフト。
1次予選参加者数が奇数の場合は招待ソフトを加える。
試合数7、変形スイス式
2次予選進出数8(上位8、但し招待ソフトは2次へは進めない)
- (v) 申し込み者数が大幅に増減した場合
- 上の(ii)〜(iv)の方式は、全申し込み者数が28〜64の場合適用する。
予定参加者数が27以下の場合は、1次予選は行わない。
申し込み者数が65以上の場合、60を越える5チーム毎に、
2次予選シードを1、1次から2次への進出数を1、それぞれ増やす。
- (vi) 遅刻等の取り扱いについて
- 決勝については、定時に開始したものとみなし、時間切れとならない範囲で通常の対局を行う。時間切れとなれば、負け。
なお、(事前に連絡があり)シード者が棄権する場合、シード数は増やさず、決勝進出数を増やす。
事前連絡は、前日の最終試合終了時までに行うこと。
事前に連絡がなく、不参加の場合は、何らかのペナルティを与える。
- (注) 事故による不参加の場合は、ペナルティの対象にはならない。
不参加の試合については、負けとして扱う。
- 2次予選についても同様。1次予選と日が異なるので、事前に連絡が
ない場合は、参加するものとみなす。
事前連絡は前日の最終試合終了時までに行うこと。
事前に連絡がなく、不参加の場合は、何らかのペナルティを与える。
- (注) 事故による不参加の場合はペナルティの対象にはならない。
不参加の試合については負けとして扱う。
1試合も参加できないソフトが出て、2次予選参加者数が奇数となった
場合は、招待ソフトを加える。但し、そのソフトは決勝へは進めない。
- 1次予選については、「初参加者」の抽選時までに連絡なく
到着していないものは、棄権したものとみなす場合がある。
- (注) ペナルティの内容は、状況によって、CSAで決定する。
- 予選・決勝共、試合に参加後、途中で棄権した場合、以降の試合は不戦敗とする。
- (vii) 大会の進行状況によって、運営側の判断により持ち時間を短縮する場合がある。また、1次・2次予選においては総試合数を減ずる場合がある。
(16) 次回のシード順
- 次回の決勝シード数を3、2次予選シード数を16とし、それ以外を無シードと
する。(*1)
シード順は上位より
- (A) 決勝の順位
(B) 2次予選の順位(決勝進出者を除く)
(C) 1次予選の順位(2次予選進出者を除く)
(D) 過去の参加者(最近の参加者を優先)
(E) 新参加者
- とする。
- *1 試合の方式が変更になった場合、シード数は変更される場合がある。
(17) 予選の組合せ
- 予選は、以下のような変形スイス式で組合せ(対戦)を行なう。
- 第1局は通常のスイス式と同様とする。
- 第2局は第1局で上位が勝ったと仮定しスイス式で組み合わせる。
- 第3局以降は最終局を除き、2局前までの結果に基づき、スイス式で組み合わせる。
- 最終局は1局前までの結果に基づきスイス式で組み合わせる。
- 組合せ、および、先後は、組合せソフトを用いて決定する。
- (参考) スイス式トーナメントの組み合わせ法
- 1回戦は、真ん中から上の1組と下の2組に分け、1組の1番と2組の1番とを当てる。2番と2番、以下同様。
- 2回戦以降は、勝ち:1、引き分け:1/2、負け:0として、成績によって組に分け、同成績の組で、上記1回戦と同様に当てていく。
- 同成績の選手が奇数のときは、その組の真ん中のソフトを一つ下の組の最上位のソフトと当てる。
- 既に対戦しているソフトとは当てない。対戦済みの場合は、成績が下位の人の次の順番のソフトと当てる。
- このルールで決まらない場合は、運営側が決める。
- (注) 組み合わせの都合上、若干の変更がある可能性がある。
(18) 決勝の組合せ
- 総当たり7回戦とする。
- 対戦順、先後は主催者が決定する。
(19) 順位の決め方
- 上から順に適用していく。
- 1) 勝数の多い者
2) ソルコフ方式
- すべての対戦相手の勝星の合計の多い方
- 3) SB方式
- 負かした相手の勝星の合計の多い方
- 4) ミディアム方式
- 負かした相手の勝星が最高と最低の2人を除いた相手の勝星の合計の多い方
- 5) DH方式
- 1)から4)で同順位のもの同士の対戦のみについて、(勝ち数-負け数)で決める。
- 6) 対戦表の順位 上位を優先する。
- (注) 引分けを0.5勝とする。
総当たりの決勝では、2)は意味がない。
(20) 棋譜
- 1局が終わる毎に、配布された3.5インチフロッピーに棋譜ファイルをコピーし、審判に提出する。やむを得ない事情によって、試合直後に提出できない場合は、後日、提出する。
- 棋譜ファイルの形式はCSA形式(別紙)を推奨するが、独自の形式であっても
よい。
- 棋譜には、消費時間も記録する。
- 代理通信ソフトを使用した場合、それによっても棋譜を記録し、提出する。
- 棋譜は、CSAの判断で、自由に使用や公開をするものとする。
- 過去の選手権の棋譜は、次のURLのCSAのホームページで公開している。
(21) プログラム等の保存およびクレーム期間
- (i) 参加者は、大会バージョンを1年間(決勝終了の翌日から)保存する。
大会で用いたプログラムの実行ファイル、データなど、大会の状況が
再現できるもの。
なお、途中でプログラム等の変更を行った場合は、どれか一つの
バージョンでよい。
- (ii) 正当と判断されたクレームがあった場合、CSAはその提出を求め、
限られた調査委員会で調査を行う。提出されない場合、入賞を剥奪や
次回以降の参加を制限する場合がある。調査委員会は別途定める。
- (iii) クレームの期限は決勝終了の翌日から6カ月とする。
(付則) 本ルールは日本語版と英語版を作成する。その解釈に疑義ある時は、日
本語版を以て正本とする。