第11回世界コンピュータ将棋選手権実施要領
前回からの主な変更点
前回に対して、主に次の点が変更になっていますので、御注意下さい。
- 名称に「世界」を入れた(従来から世界大会であったが、明記した)。
- 会場をシェラトンホテルから、かずさアークに変更した(週末開催のため)。
- 決勝の参加者数を8チームから10チームに増やした。
- 決勝の持ち時間を30分から25分にした。
- 一次予選の持ち時間を20分から25分にした。
運営の都合上、今後、若干の変更がある可能性があります。
実施要領
(1) 日時
- 2001年3月10日(土)〜12日(月)
- 1日目 一次予選
2日目 二次予選
3日目 決勝
(2) 場所
- 〒292-0812 千葉県木更津市矢那1637
かずさアーク
TEL: 0438-20-5555 FAX: 0438-20-5139
(3) 主催
- コンピュータ将棋協会
(略称:CSA)
(4) 協力
- 社団法人 日本将棋連盟
(5) 協賛
- 富士通 株式会社
株式会社 アスキー
株式会社 毎日コミュニケーションズ
株式会社 アイフォー
(6) 賞品
- 3位まで:盾、10位まで:賞状
賞品:ノートパソコン(優勝者)
(7) 参加費
- 1チーム1万円 (事前に振り込み、参加を中止しても返却しない)
(8) 参加資格 (必須の機能)
- 盤面の表示(テキストでも可)、指し手の入出力、先手と後手の両方が指せること。
- 消費時間の表示(秒単位)。
消費時間が1秒未満の場合、1秒とすること(1手につき最低1秒)。
- 棋譜(消費時間を含む)の記録。
- プログラムは、自作のものでなければならない。
- 1チーム1プログラムとする。
- 実行機種は問わない(原則として持ち込み)。
- 通信機能(プロトコルは別記)。
ただし、参加プログラムに通信機能がなくても代理通信ソフトを使用し、参加
できる。この場合、消費時間のハンディが生じる(詳細は後述)。
通信機能を備える場合は、相手が手入力の場合があるので、待ったに対応しなければならない。
- 入力ミスに対して、指し手の再入力(消費時間も戻す)が可能なこと(手入力の場合)。
(注)
- 対局は原則として通信で行うが、トラブルがあった場合は手入力で行う。
- 自作の参加の他に、主催者(CSA)が市販のソフトを参加させる場合がある(参加者数が奇数の場合等)。
- 参加資格が微妙な場合は、主催者が扱いを決定する。
(9) プログラムにあることが望ましい機能
- 千日手の検出。
- 持ち時間の変更に対応。
- 事故の際、任意の局面・手番・持ち時間で対局を再開できる。
(10) 通信機能について
- 通信機能は、原則として、必須とする。
ただし、参加プログラムに通信機能がなくても代理通信ソフトを使用し、参加できる。この場合、通信機能のついたソフト(代理通信ソフト)を同時に実行し、それを経由して、相手と対戦しなければならない。代理通信ソフトは、自分のプログラムが走るマシンまたは、参加者が用意する別の(ノート型に限る)マシンの上で動作させる。この場合、入力部分の時間もそのプログラムの消費時間とする(代理通信ソフトが計測した時間を消費時間とする)。
自分のプログラムや通信プログラムへの入力は、参加者自身が行うこととする。
なお、OSがWindowsでなく、通信機能もなく、かつ条件が悪い(パソコンを余分に用意できない/遠隔地で運ぶのが大変である)場合は、事前にCSAに申
し出れば、相談に応ずることがある。
- 代理ソフトとしては、CSA形式の通信機能を持った市販の将棋ソフトが使用
可能である。また、CSAのホームページに、フリーのものを登録する予定で
ある。
- 参加者は代理通信ソフトへの入力に際し、なるべく待った(入力ミス)をしないように努力する。なお、あまりに頻繁に待ったをする場合は、審判の判断で残りの持ち時間を減らすなどの処置をとる場合がある。
- 両者ともに通信機能があるのに、うまく通信できなかった場合で、通信できなかった理由が判定できないときは、両者とも手入力による対戦とする。この場合、手入力の時間は消費時間に加えない。また、この場合、運営上の都合で、審判による勝敗(引き分けを含む)の判定を行う場合がある。
なお、途中から通信が不能となり、手入力で再開した場合もこれに準ずる。
(11) 試合の方法(予選・決勝共通)
- 対局は、総平手戦とする。
- 持ち時間が切れたら負け(詳細は後述)。
- ルール上指せない手を指したら負け。
- 千日手は指し直さず、0.5勝の扱いとする。
ただし、連続王手の千日手(同一局面の最初と4回目の間の一方の指し手が王手のみだった場合)は、王手をかけていたほうが負け。
- 入玉し、一定の条件を満たした場合、勝ちを宣言できる(詳細は後述)。
- 対局開始前の再コンパイル、相手に合わせたパラメータ調整等は、やってもよい。
- 対局開始後は審判に指示された場合、または、両対局者合意の上で審判の許可を得た場合を除き、入力装置を操作してはならない。
- 開発者、または、代理の人の判断で、投了してもよい。
- 通信部のバグ・その他の事故により中断した場合は、審判の判断によって処理する。
- 対局開始後一定の時間が経過しても対局が終了しない等、大会の進行上問題が生じた場合、対局の途中であっても、審判が勝敗等を決める場合がある。
- その他、トラブルがあった場合は、審判が判断を行う。
(12) 持ち時間
- 秒単位で積算し、片方あたり、25分。
- 切れたら負け。指した後、25分00秒なら、その手で相手が詰みでも負け。
- 1秒未満は1秒とする。0秒としていた場合、審判が時間を加算する場合がある。
- 消費時間は、それぞれのソフトの計測時間を用いる(不正があった場合、審判が扱いを判断する)。
(13) 入玉について
- 次の条件が成立する場合、勝ちを宣言できる(以下「入玉宣言勝ち」と云う)。
条件:
- (a) 宣言側の手番である。
(b) 宣言側の玉が敵陣三段目以内に入っている。
(c) 宣言側が(大駒5点小駒1点の計算で)
- 先手の場合28点以上の持点がある。
- 後手の場合27点以上の持点がある。
- 点数の対象となるのは、宣言側の持駒と敵陣三段目
- 以内に存在する玉を除く宣言側の駒のみである。
(d) 宣言側の敵陣三段目以内の駒は、玉を除いて10枚以上存在する。
(e) 宣言側の玉に王手がかかっていない。
- (詰めろや必死であることは関係ない)
- (f) 宣言側の持ち時間が残っている。(切れ負けの場合)
- 以上1つでも条件を満たしていない場合、宣言した方が負けとなる。
- (注) このルールは、日本将棋連盟がアマチュアの公式戦で使用しているものである。
- 以上の宣言は、コンピュータが行い、画面上に明示する。通信対局の場合は、
「%KACHI」のコマンドを送信する。
(14) 勝敗の決定
- 勝敗は以下の順で決定される。
- 1) 時間切れは負け
2) 通常の将棋のルール(持将棋を除く)による勝ち、負け
- 千日手となった場合はそこで終了
(連続王手でない千日手は引き分けとして扱う)
- 3) 入玉宣言勝ち(宣言はコンピュータが行う)
(15) 予選と決勝の方式
- (i) シード順
- 参加者のシード順(開始時の順位)は以下の通り(前回、発表)。
上位より
- (A) 前回の決勝の順位
(B) 前回の二次予選の順位
(C) 前回の一次予選の順位
(D) 上の(A)〜(C)に該当しないものは前々回順位
(E) 上の(A)〜(D)に該当しないものは前々々回順位。以下同様
(F) 初参加者(抽選順)
- (ii) 決勝の対戦方式
- シード数3、参加者数10、9回戦の総当たりとする。
- (iii) 二次予選の対戦方式
- シード数16、参加者数24、試合数9、変形スイス式
決勝進出数7(上位7)
- (iv) 一次予選の対戦方式
- 一次予選の参加者は、残り(全参加者数-3-16)のソフト。
一次予選参加者数が奇数の場合は招待ソフトを加える。
試合数7、変形スイス式
二次予選進出数8(上位8、但し招待ソフトは二次へは進めない)
- (v) 申し込み者数が大幅に増減した場合
- 上の(ii)〜(iv)の方式は、全申し込み者数が28〜64の場合適用する。
予定参加者数が27以下の場合は、一次予選は行わない。
申し込み者数が65以上の場合、60を越える5チーム毎に、二次予選シードを1、一次から二次への進出数を1、それぞれ増やす。
- (vi) 遅刻等の取り扱いについて
- 決勝については、定時に開始したものとみなし、時間切れとならない範囲で通常の対局を行う。時間切れとなれば、負け。
なお、(事前に連絡があり)シード者が棄権する場合、シード数は増やさず、決勝進出数を増やす。
事前連絡は、前日の最終試合終了時までに行うこと。
事前に連絡がなく、不参加の場合は、何らかのペナルティを与える。
- (注) 事故による不参加の場合は、ペナルティの対象にはならない。
不参加の試合については、負けとして扱う。
- 二次予選についても同様。一次予選と日が異なるので、事前に連絡がない場合は、参加するものとみなす。
事前連絡は前日の最終試合終了時までに行うこと。
事前に連絡がなく、不参加の場合は、何らかのペナルティを与える。
- (注) 事故による不参加の場合はペナルティの対象にはならない。
不参加の試合については負けとして扱う。
1試合も参加できないソフトが出て、二次予選参加者数が奇数となった
場合は、招待ソフトを加える。但し、そのソフトは決勝へは進めない。
- 一次予選については、「初参加者」の抽選時までに連絡なく到着していないものは、棄権したものとみなす。
- (注) ペナルティの内容は、状況によって、CSAで決定する。
- 予選・決勝共、試合に参加後、途中で棄権した場合、以降の試合は不戦敗とする。
- (vii) 大会の進行状況によって、運営側の判断により持ち時間を短縮する
場合がある。また、一次・二次予選においては総試合数を減ずる場合がある。
(16) 次回のシード順
- 次回の決勝シード数を3、二次予選シード数を16とし、それ以外を無シードとする。(*1)
シード順は上位より
- (A) 決勝の順位
(B) 二次予選の順位
(C) 一次予選の順位
(D) 過去の参加者(最近の参加者を優先)
(E) 新参加者
- とする。
*1 試合の方式が変更になった場合、シード数は変更される場合がある。
(17) 予選の組合せ
- 予選は、以下のような変形スイス式で組合せ(対戦)を行なう。
- 第1局は通常のスイス式と同様とする。
- 第2局は第1局で上位が勝ったと仮定しスイス式で組み合わせる。
- 第3局以降は最終局を除き、2局前までの結果に基づき、スイス式で組み合わせる。
- 最終局は1局前までの結果に基づきスイス式で組み合わせる。
- 組合せ、および、先後は、組合せソフトを用いて決定する。
- (参考) スイス式トーナメントの組み合わせ法
- 1回戦は、真ん中から上の1組と下の2組に分け、1組の1番と2組の1番とを当てる。2番と2番、以下同様。
- 2回戦以降は、勝ち:1、引き分け:1/2、負け:0として、成績によって組に分け、同成績の組で、上記1回戦と同様に当てていく。
- 同成績の選手が奇数のときは、その組の真ん中のソフトを一つ下の組の最上位のソフトと当てる。
- 既に対戦しているソフトとは当てない。対戦済みの場合は、成績が下位の人の次の順番のソフトと当てる。
- このルールで決まらない場合は、運営側が決める。
- (注) 組み合わせの都合上、若干の変更がある可能性がある。
(18) 決勝の組合せ
- 総当たり9回戦とする。
- 対戦順、先後は主催者が決定する。
(19) 順位の決め方
- 上から順に適用していく。
- 1) 勝数の多い者
2) ソルコフ方式
- すべての対戦相手の勝星の合計の多い方
- 3) SB方式
- 負かした相手の勝星の合計の多い方
- 4) ミディアム方式
- 負かした相手の勝星が最高と最低の2人を除いた相手の勝星の合計の多い方
- 5) DH方式
- 1)から4)で同順位のもの同士の対戦のみについて、(勝ち数-負け数)で決める。
- 6) 対戦表の順位
- 上位を優先する。
- (注) 引分けを0.5勝とする。
総当たりの決勝では、2)は意味がない。
(20) 棋譜
- 1局が終わる毎に、配布された3.5インチフロッピーに棋譜ファイルをコピーし、審判に提出する。やむを得ない事情によって、試合直後に提出できない場合は、後日、提出する。
- 棋譜ファイルの形式はCSA形式(別紙)を推奨するが、独自の形式であっても
よい。
- 棋譜には、消費時間も記録する。
- 代理通信ソフトを使用した場合、それによっても棋譜を記録し、提出する。
- 棋譜は、CSAの判断で、自由に使用や公開をするものとする。
- 過去の選手権の棋譜は、次のURLのCSAのホームページで公開している。
(21) プログラム等の保存およびクレーム期間
- (i) 参加者は、大会バージョンを1年間(決勝終了の翌日から)保存する。
大会で用いたプログラムの実行ファイル、データなど、大会の状況が再現できるもの。
なお、途中でプログラム等の変更を行った場合は、どれか一つのバージョンでよい。
- (ii) 正当と判断されたクレームがあった場合、CSAはその提出を求め、限られた調査委員会で調査を行う。提出されない場合、入賞を剥奪や次回以降の参加を制限する場合がある。調査委員会は別途定める。
- (iii) クレームの期限は決勝終了の翌日から6カ月とする。
(付則) 本ルールは日本語版と英語版を作成する。その解釈に疑義ある時は、日本語版を以て正本とする。